私が勤めている緩和病棟のテーマは「安らぎ」と「希望」です。ここでは通常のケアやかかわりに加え、アロマセラピーやマッサージなどの各種代替療法も積極的に取り入

れています。また患者さんの中には末期がんであるのはわかっていながらも「まだあきらめたくない」という思いをもっている患者さんも少なからずいます。そんな患者さん

には治療的代替療法を行うことで、希望を支えるということもしています。患者さんの思いは様々であり、決まったパターンがあるわけではありません。西洋医学や医療者

の常識を患者さんに押し付けるのではくあくまでも患者さんの思いに寄り添ったかかわりを常に心がけながらかかわりを持っていくことが重要だと思っています。今回は当

院の緩和ケアで行っている具体的なお話しをしながら、ホリスティックな視点に立った緩和ケアについてみなさんと一緒に考えていきたいと思っています。

【講師プロフィール】

１９５９年、東京都生まれ。８７年信州大学医学部卒。徳洲会野崎病院にて、内科、外科、産婦人科、小児科の研修を３年間した後、９０年４月より関西医科大学心療内科に入局。九州大学心療内科洛和会音羽病院心療内科を経て、２００２年１１月より彦

根市立病院緩和ケア科部長となり現在に至る。現在はコミュニケーションと代替医療の融合を目指しホリスティックコミュニケーション実践セミナーなども主催している。日

本心身医学指導医、同評議員。日本サイコオンコロジー学会常任世話人。日本ホリスティック医学協会理事、同関西支部長。日本統合医療学会ＣＡＭ部門評議員。著書に

『心の治癒力をうまく引きだす』『がんばらず、あきらめないがんの緩和医療』『ラジオ深夜便・ＣＤセレクション～心の治癒力をうまく引きだしたい』などがある。